資格取得

ITパスポートの取得価値について考える

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ITパスポートとは

経済産業大臣が実施する情報処理技術者試験の1つです。情報処理技術者試験はレベル1~4までの区分が設けられており、ITパスポートはレベル1に該当する試験です。
ITパスポートは開発者側ではなく、文書を作成したり、会計ソフトで仕分けをしたり、メールをしたりなど、事務系の方や営業職の方といった仕事でパソコンを利用する全ての人を対象とした国家試験です。
レベル1とはいっても、コンピュータになじみのない方やビジネス的な経験が乏しい学生や新社会人といった方にとっては、馴染みのない用語が多く、また試験範囲も広いので難しく感じると思います。

情報処理技術者試験というのはコンピュータに特化した試験ではありません。ITという広い概念をカバーした試験ですので、CPUやメインメモリといったコンピュータの構造的な話であるテクノロジー分野はもちろんのこと、経営やマーケティングなどのマネジメントと言われる分野も試験範囲に含まれます。

ITパスポート試験は、頻繁に試験が開催されております。会場も専門学校や高校、大学など様々な場所が利用されます。また、紙媒体の試験ではなくパソコン上で試験問題を解いていく形式の試験です。

誰が取得するべきか

IT業界に身を置く人以外の全ての人が取得するべきだと思います。
逆にIT業界に身を置く人であれば、最低でもレベル2の試験である基本情報技術者試験以上を取得するべきです。

強みとなるか

ITパスポートを取得する過程で、エクセルやワード、メールに関する知識が身につくことはありません。エクセルやワードといったアプリケーションを利用する土台となる知識を学習します。
これは、ITパスポートだけを取得してもエクセルやワードが難なく使えることの証明にはならないことを意味します。そのため、エクセルやワードが使えるというアピールが必要な局面においては別途MOSなどの資格が必要となります。

さて、強みとなるか、という点です。

おそらく、ITパスポートを取得しようとする方は、これから仕事を探す、入社してパソコンの勉強がしたいといった目的があるかと思います。スキルアップという側面で言えば、資格取得がマイナスになることはあり得ませんので、仕事を探すうえで強みとなるかを考えます。

先に言えば、就職の際の強みになるという側面はあります。しかし、正社員での採用ではなく、契約社員やパート社員の採用という局面においてです。

企業が人手不足に陥るタイミングは、頻繁にあります。そして、求人をかけるのですが、人がなかなか応募してこないという状況も良くあります。

こういった状況では、企業はせっかく応募してきてくれた方を簡単には不採用とはしません。何故なら、やっと応募してくれた人が来たのに、あっさり落としてしまったら次の採用のチャンスがいつ来るか分からないからです。

こういった場合は、履歴書に書いた資格が強い武器となります。

企業が事務職を募集する際の絶対条件は、パソコンが使えることです。逆にこれ以外は何も持っていなくて良いです。

パソコンが使える人であるかどうかは面接では分かりませんので、履歴書を見るしかないのですが、ITパスポート単独でも悪くないとは思いますが、先に書いたように業務で必要なエクセル、ワードが使えることとは無関係な試験ですので念には念を入れたい場合は、エクセル、ワードの資格を取っておいても良いでしょう。

順序を付けるのであれば、

  1. ITパスポート + エクセルの資格
  2. エクセルの資格のみ
  3. ITパスポートのみ

といったことになります。

私の職場でも事務職の契約社員を募集したところ、上記の2に該当する方(40代の方)の応募があったのですが、履歴書の資格欄を見て入力業務は問題なくできるだろうということで、採用しておりました。

ITパスポートが活きた事例ではなかったですが、ITパスポートでも同じような判断はされたと思います。

ITパスポートはプラチナチケットではありませんので、冷静にこの資格を見つめないといけません。要するに過信してはいけません。決して取得したことが凄いと思われる資格ではないので、これをとって、さぁ正社員としてバリバリ働くぞ、とはならないで下さい。正社員の募集においては、少しでもプラス要素に働けば良いな位に考えておいてください。

 

結局、取得する価値はあるのか?

  • IT系の企業に就職しない
  • 非正規社員として就職を考えている
  • 事務系の仕事をしたい

こういった場合には、取得する価値はあります。
繰り返しになりますが、事務系の非正規社員を狙うのであれば効果的な武器になります。

個人的には営業系でもITスキルがあれば効率が格段に違ってくるので評価されると思いたいですね。

逆に取得する価値が微妙な場合

  • IT系の企業に勤めたい(最低でも基本情報技術者からしか評価されないでしょう。)
  • 事務系の仕事に正社員として就職したい(正社員の競争倍率が2以上であれば面接での印象を重視してきます。また倍率が1であっても、良い会社であれば面接重視で採用を先送りします。)
  • パソコンの入力作業が難なくできることを目標に学習する場合(ITパスポートとは無関係なスキルの為。ダブルライセンスを目指すのはアリ。)

こういった場合は、ITパスポートでは力不足の感じがします。

正攻法で合格するのは大変

ITパスポートは簡単ではないと言われます。一方で簡単であるとも言われます。

ただ合格するだけで良ければ、過去問題などの問題集を数回やる事が効果的です。いわゆる過去問の流用が目立ちすぎる類の試験問題であるからです。

でも、教科書を1から読んでいくとなると、書いてあることも案外難しいしボリュームもあります。とてもレベル1の試験とは思えないでしょう。

これが、ITパスポートの厄介なところだと思うのですが、過去問等を繰り返し解き続けると、問題文と答えを何となく覚えてしまって、何となくでほぼ全部解けるようになってしまいます。そして、本番の試験でも同じ問題が出てきますので、やはり何となくで合格してしまいます。

教科書を読まずに、過去問を繰り返して合格してしまう最短ルートを選ぶか。

教科書を一通り読んで、問題演習をして、間違ったところはまた教科書を読んで、というインプット、アウトプットの繰り返しで合格するルートを選ぶか。

どちらが良いかと言えば、後者かなぁと思います。過去問の暗記に頼ってしまうと、いくら高得点で合格しても何も身に付いてないんですよね。メインメモリが何ギガとかCPUとかSSDかHDDかという事が何であるかくらいは、合格者であれば分かってた方が良いです。

ITパスポートを持っていることが決め手で就職出来た、ということであれば前者でももちろん良いのですが、それだとしても、結局入社後に、再度勉強しなおす必要があるでしょう。

本来、ITパスポートはIT試験のは入り口なので、今まで勉強したことがない人を対象としています。だとしたら、3か月~6か月くらいはじっくり勉強しても良いように思います。

名刺には載せなくて良い

ITパスポートは、履歴書に書くに留めておき、名刺には載せなくても良いと思います。あくまで個人的な考えですけどね。

名刺に載せるには、自己アピールというよりも、相手に与える印象を操作したい時に効果的な資格を載せた方が良い、と思っています。

例えば、難易度で言えばITパスポートと同等かやや易しいくらいの試験で個人情報保護士というものがあるのですが、(記事についてはこちら) こちらは名刺に載せる価値があると思います。というのも、相手側からすると個人情報保護士という資格は知らなくても、とりあえず個人情報を大切に扱える人なんだろうな、くらいの印象を持ってもらうことが出来ると思うからです。

ITパスポートは相手がどのような印象を持つか読めないところがあります。めちゃくちゃパソコンに詳しいと捉えられても困るでしょうし、逆に、かえって低い評価をされてしまう場合もなくはないからです。初学者からすると難易度は高い試験なのですが、その道の人からしたら、やはりレベル1の試験なのです。わざわざ名刺に載せるような資格じゃないのに・・・と思われる可能性があります。
ホントにどういった印象を与えるか読めないです。私もかつて、1人だけ名刺にITパスポートを記載している方に会ったことがあるのですが、私はその時点で基本情報技術者を取得しておりました。お相手の方は、セキュリティ製品を扱う代理店の方で40代後半でとても紳士に見えましたが、私としては、実はこの人あまり詳しくないだろうな、という印象を持ちました。

つまり、ITパスポートを載せていない方が印象は良かったと思います。

ITパスポートは名刺ではなく履歴書に書くための資格だと割り切りましょう。




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