どうやって質の悪い家であると言えるか
アーネストワンの家が安いのは、間違いないです。
そのアーネストワンの家の価格で、どんな家を期待するでしょうか?
少なくとも、鉄筋コンクリートの家ではないことは分かります。
では、木造住宅として上なのか中なのか下なのか・・・。
価格から考えると、上はないにしても下は嫌だな、というところでしょうか。そもそも、いくら安くても質の悪い家だと分かっているなら買うはずがありません。
そして、ハウスメーカーは質の悪い家だと分かっていながら建築し販売することもないと思います。
悪徳業者でないならば、わざわざ質の悪い家なんか作らないと思うのです。
アーネストワンの家というのは、ネットで検索するとかなり悪評が目立ちます。しかしながら、家のことを勉強していくほど、価格に対して悪い家ではないような気がしてきます。
正直、施工中の丁寧さとかは考慮に値しないと考えています。そもそも、注文住宅を契約すると、営業マンから建築中は職人さんに差し入れをするようにアドバイスされるようですが、これ自体が本来意味不明です。差し入れや顔をこまめに出すことで仕上がりに差があるのだとしたら、そして、仕上がりが思ったより悪いとしてそれが、差し入れを怠ったからだとしたら納得できる話ではないです。
このような話は、金額の安い高いを問わず言われてるようです。ということは、基本的にどれくらい丁寧に施工されているかなんてことは、高ければ丁寧で安ければ雑というような簡単な話ではないですし、そもそも安いから雑な作業で当たり前なはずがありません。ですのでその真偽は考えません。
アーネストワンの家は確実にローコスト住宅に分類されるハウスメーカーでしょう。私が買ったアーネストワンの家は、2階建てで延べ床面積が89㎡の4LDKで狭いですが2階にベランダがあり建物代は1000万円をぎり切ってます。
この数字からして、言うまでもなくアーネストワンはローコスト住宅です。したがって、ローコスト住宅を扱うハウスメーカーと比較するとアーネストワンの立ち回りが見えてくると思います。
今回は、
- 構造材に使われる柱の種類
- 基礎の種類
- 住宅性能評価制度からの比較
について、ローコストのハウスメーカーの仕様と比べてどうなのかを探っていきたいと思います。
もし、アーネストワンの家がすべての面で劣っているのであれば、ネットの評判通りの家だということになるでしょう。
構造材に使われる柱の種類
アーネストワンでは、構造材(家を支える役割をする重要な柱)には、105mmの角材を使用しています。そして、この木材は、国産材の集成材(おそらくスギです)のようです。日刊木材新聞社の記事によると、飯田グループのファーストウッドが集成材を作っているようです。
いきなり想定外でした。
集成材については、賛否あるようですので、正直素人がどうこう考えても仕方がないような気がします。例えば、集成材だと木材同士を接着剤で貼り付けるため、剥離を起こしてしまうという指摘がある一方で、この接着剤は、航空機にも利用され数百年の耐久性があるという意見もあります。
では、他のローコスト住宅はどうでしょう。
アーネストワンを含めてですが、どこも公式情報としてどんな木材を使用しているかの情報がありませんでした。
しかし、一般的には105mmのホワイトウッドの集成材がローコスト住宅には使われているようです。
ホワイトウッドの集成材は強度そのものは、国産材の集成材と大差ないのですが、シロアリによる食害という点においては、かなり差があるようです。ホワイトウッドはシロアリがいない北欧で育つのに対し、国内の木はシロアリと共存しながら生育しているという環境の違いが性質の違いに表れているようです。ただ、シロアリ対策が十分にされていれば、あまり問題ないとする意見もあります。いずれにせよ、国産材に比べるとホワイトウッドはワンランク下の木材のようです。
明確には言えませんが、ローコスト住宅では、105mmのホワイトウッドの集成材が一般的であるのに対し、アーネストワンでは105mmの国産スギの集成材を使用しており、1枚上手ではないかという印象です。
もし、構造材が大事だと思うならば、ハウスメーカーに木材は何を使っているか確認が必要です。
基礎の種類
アーネストワンでは鉄筋コンクリートのべた基礎です。
べた基礎というのは、家の土台を全てコンクリートにし、そのコンクリートの土台全体で家を支える構造です。基本的には布基礎より劣ることはないようです。ただし、土地の性質によっては、べた基礎の方が優れているということにはならないようです。そのため、布基礎とべた基礎のいずれでも、差が生じない土地だとしたら、コストが安い布基礎を選択するのも良さそうです。ただし、べた基礎の方がシロアリが侵入する場所がないため、シロアリ被害に対し安心感があります。
布基礎は、更地に防水性のシートを敷き、家を支える杭を深く打ち込みます。その杭がいくつもあり、その杭で家を支えるので、点で家を支えると言われています。布基礎の方がべた基礎より数十万円安いようです。
許容応力というものがありますが、アーネストワンの基礎の許容応力は20キロニュートン/㎡というものでして、ざっくり1平方メートルあたり2トンの重さに耐えられるということです。40㎡くらいあるので、80トンの重さを許容できる基礎ということでしょう。どんなものかよく分からないのですが、2階建ての一般的な木造住宅は30トンらしいので家具とか置いても十分耐えられるのではないでしょうか。まぁ、当然ですが。
一方で、アーネストワン以外のローコスト住宅でも、鉄筋コンクリートのべた基礎というのは普通に見受けられます。アーネストワンのホームページでは全棟べた基礎というのをアピールしておりますが、これが大きな差別化にはなっていないような印象です。
よって、ローコスト住宅でもべた基礎が多いと思われますが、仮に布基礎だとしたら、ローコスト住宅の中でもさらにコストをかけないハウスメーカーだと言えるでしょう。
住宅性能評価
住宅性能評価制度というものがあります。耐震性能や断熱性能、劣化対策など家の性能を評価する項目について、第3者が審査するものです。
アーネストワンはいやらしいほどに、ホームページでこれを宣伝してます。ですが、安心材料となるのも事実ではないかと思います。例えば、アーネストワンはほとんどの項目で最高等級の評価ですが、耐震等級3(最高)であることに加えて、SAFE365という制振機構も備えています。地震に強い家には拘っているのかもしれません。ほかにも、ホルムアルデヒド発散等級も最高ですし、性能に関してはあくまで制度の上では欠点がないと言えます。
他のローコスト住宅では、これを売りにしているのはほとんど見かけません。国分ハウジングが4項目で最高等級でしたが、その他の項目がどうなのかが分かりませんでした。
個人的に気になるのは、劣化対策等級です。アーネストワンも国分ハウジングも最高等級の3を取得しています。これは、どういう表現をされているかというと、
「通常想定される条件のもと、3世代まで大規模な改修工事をせずに使えるように対策されているもの」
というものです。この表現ではよく分かりませんが、100年くらいは大規模な修繕をしなくても持つということなのでしょう。具体的には、家に適切な防水・防腐措置が取られているかどうかが審査されるようです。
防水や防腐措置などは、されて当たり前だとは思うのですが、あまり住宅性能評価制度で良い等級を受けていることを売りにしているハウスメーカーは少ないように思います。防腐処理にしても、防腐剤を木材の表面に塗装するのか、内部まで浸透させるのかというのがあるようです。アーネストワンは、乾式注入という特別な方法で処理しているようで、木材から防腐剤が発散することもないそうです。
ここについても、ローコスト住宅であれば事前に住宅性能評価書を取得した時の等級を確認しないといけません。大事なところで最高等級を取得していないのであれば、安くても買えないのではないかと思います。国分ハウジングについても、大事なところだけは公表しているのかもしれません。
アーネストワンは悪い家ではないと思う。
アーネストワンはローコスト住宅というカテゴリーの中で考えると、最上位クラスのハウスメーカーだと言っても良いのではないかと思います。
しかし、デザイン性に関しては特徴が全くありません。従って、新築時に知り合いを招きたくなるような家ではないです。そのため、家に内装のデザイン性を求めるのであれば、アーネストワンの建売は魅力がないと思います。
私は、アーネストワンの建売を価格に飛びつき買ってしまいました。買った後に、ネットでの悪評を見て後悔したこともありましたが、住宅性能評価に慰められたことも事実です。また、特徴がない内装や間取りに関しても、DIYで何とか打破しようと試みています。そして、打破できる確信があります。壁に棚を取り付けただけで、物凄く愛着がわくのです。
コスパで見た家
今回私が思うのは、今と将来の生活を豊かにするために、ローコスト住宅を利用する、という考え方です。
というのも、ローコスト住宅でありながら、3世代は住めることを想定しているのです。正直、サラリーマンが買える範疇の贅沢な家を建てたところで、次世代の子供が住みたい家であり続けるのは難しいと思います。当代で高い住宅ローンに四苦八苦し、次世代の子供に家を譲り渡したところで、家賃がかからないというメリットしか子供にはないと思うのです。
その一方で、ローコスト住宅であれば、私の代でもローンは一般的なアパートの家賃+固定資産税です。しかも、住宅ローン控除があるので、固定資産税は13年間は0だと考えることもできます。そして、子供にゆずり渡すときに、10年くらいはノーメンテで住めるように、屋根と外壁の塗装を150万円くらいかけてやっとけば(ローコストだとその余裕が十分ある)、こどもも10年間は家賃0で住宅を確保できるメリットが生まれます。それから家を売るか住み続けるか考えることでしょう。いずれにせよ、10年間家賃がかからなかったことは、子供にとって大きなプラスです。
これからの働き方は、私としては実家を出て仕事を探すことが当たり前ではなくなるような気がします。地方であっても、うまく生活費を抑えながら、自分に合った仕事で生計を立てるのもアリだと思います。自分に合った仕事というのは、あまり高い収入が望めないものかもしれません。ですが、生活のために自分に合わない仕事を続ける苦しさも、私たちは理解しているはずです。ということは、わざわざ、高いコストをかけて衣食住を確保するよりかは、実家を利用して安く衣食住を確保すればよいのではないかと思うのです。実家暮らしだから、その稼ぎで貯金ができるのだという非難をよく聞きますが、それは自分に合わない仕事をやることで苦しんでいる人の声だと思います。人生苦しみながら自分の力で生きるのが良いのか、親の財を活用しながら、より少ないストレスで生きるのが良いのかは難しいところです。でも、私は、親と子が一緒に長く暮らしていくことも、幸せな人生の一つだと思います。
脱線しましたが、たとえローコスト住宅でも3世代は住める家なら、高い家を諦めてでも買う価値は十分あると思うのです。住宅ローンの負担がきつすぎて、旅行にも行けないという愚痴をよく耳しますが、ローコスト住宅でそれはあり得ませんよね。なぜなら、ローコスト住宅でローンの負担に苦しむならそもそも、旅行に行く余裕もないはずです。本来、旅行に行く余裕のある人が、旅行に行く余裕がなくなっているんです。また、貯金が思いのほか増えないことに不安が募るかもしれません。やっと、貯金が出来たと思ったら、今度は、家のメンテナンス費用で100万円を捻出しないといけないし、3か月に1回、固定資産税の請求が来る。高い土地と家なら、税金も安くはないでしょう。
だったら、納得のいく品質のローコスト住宅を選んだ方が、人生長く楽しめると思います。